ゲームな日記

君にやっと巡り逢えた
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エンドロールなど流させない 四篇





 落ちるとき、堕ちるときというのは何にでもある。そしてその『時』というのは一瞬だ。長く培ってきたものも、永遠に続くと思っていたものも、一瞬ですべてを失う。そういう『時』は何にでもある。人の命にも、国の崩壊にも同様に。
 サークス人と奴らに操られるがままのドラゴンの軍勢により、世界のあちこちは破綻、あるいは崩壊を始めていた。
 そこにあった国や、命の在り方。それだけじゃない。戦争は心の在り様さえ変えていく。
 長すぎる戦は心を荒ませる。それが護るための尊い戦いであったとしても。
 …殉職する兵士の数が日ごとに増えていく。
 本来ならきちんと家族や親族と離別する時間を作ってやりたいのだが、その時間や手間を取ってやれないのが騎士団の現状だ。
 サークス人による死者のアンデッド化を防ぐため、どんな功労を残した兵士も戦場で灰になってもらい、遺灰と、本人だと分かる身につけていたものの一部を持ち帰る。
 …人々の顔から笑みというものが消えていく。
 確かに護っているものにも変化は訪れる。なぜか? それが生きる者であり、心ある者の在り方だからだ。
 ルダール様、と縋る手が重くなっていく。
 俺は俺にできることをしているつもりでいるが、それでも圧倒的に『足りない』のだろう。人々の中にある『騎士王ルダール』はこんなものじゃない…。それが思い込みや理想に縋る妄想からきている姿だとしても、今の俺の姿は民衆が望んだそれとは異なっているのだ。
 理想と現実は違う。限りなく近くすることはできても、完全に一致することはない。それが生き物の想像と現実の創造の限界だ。

「どうした」
「はい。丘の廃墟周辺に潜伏している兵士からの情報なのですが…こちらを」
「……これは…」
「念のためこちらの兵士を向かわせて確認を、と考えています。そこで団長のドラゴンの力をお借りできればと思うのですが、いかがでしょうか」
「そうだな。俺から話しておこう」
「よろしくお願いいたします。
 しかし、この書簡に記されていることが事実とすれば、状況は芳しくないようですね…」
「…そのようだ」

 サークス人達が潜伏していると思われる拠点の一つに丘の廃墟がある。届いた一枚の紙片はその廃墟を見張っている兵からのもので、紙片には破り取られた地図の断片が貼り付けてあった。
 どうやらその丘の廃墟からサークス人達が地図に印のある辺りに向かい、何かをしているらしい。それも夜な夜な毎日と紙片には記されている。不気味な呪文のようなものも風に乗って微かに耳に届くのだとか。
 書簡を持ってきた兵には下がるように言い、俺はろうそくの火を見つめた。頼りない光源に書簡の文字は薄ぼんやりとした影を躍らせている。
(………こちらに何か大規模な攻撃を仕掛けるために準備をしている、と考えるのが筋だろうな)
 結局、いくら前向きに考えたところで結論は一つだった。
 今までの攻撃の仕方ではこの国を落とすのには時間がかかると踏んだか。
 騎士団の疲労は増し、兵の数は日増しに減り続けているが、それでも奴らには手ぬるいのだ。この国を、人々を、ドラゴンを、すべてを葬るまでその攻撃は止まないだろう。
「…ルダール」
 俺がそう口にするときは、ドラゴンであるあいつのことを呼ぶときと決まっている。
 屋根の上にでもいたのだろう、ばさり、と翼を翻す音のあとに重たい着地音、そして長い爪が地面を掻く音が続く。
 のそりとした動きで戸口から部屋の中に顔を突っ込んだルダールはそこで止まった。何かあったときに身動きが取りづらいという理由で建物の中には入らず、顔だけ突っ込む形でこっちを見ている。その眼光は出会った頃と同じくらい鋭いかもしれない。何年か前ならやわらかかったはずの眼差しは、戦争によって失われてしまった。
 俺も、今はあんな目をしているのだろうか。
 いや、俺はもともと、どんな目で物事を見ていただろうか。どんな眼差しで。どんな感情を乗せて。
「聞こえてたんだろ」
『…ドラゴンは耳も目も良いからな』
 ぼそっとした声にそうだろうなとぼやいて返す。そして、しばらくの間があった。
 今日も夜は静かだ。窓の外に大きく漏れるような光源はなく、話し声もしない。
 人家の明かりは敵に居場所を知らせるものになってしまうため、街の人間は最低限の光源で生活するようにしている。だから夜は暗い。
 ルダールから話をする気はないようなので、俺が先に口を開いた。明るい話題でもない分、できればしたくはない会話だが、必要なものだ。仕方がない。
「大規模な攻撃を仕掛けるための前準備だろうな。サークス人は怪しげな術をいくつも使う」
『毎夜準備をしているとなれば、相当なものだろう』
「ああ。なんとしても阻止しなければ」
 …そう、できるだけ早い対処が望ましい。そして、兵士の数よりも、その実力。相手がサークス人であることを考えると、実力がある兵の速やかな一撃による各個撃破が理想だ。そして、それを満たせる兵士というのは限られている。即ち、俺だ。
 俺とルダール。一人と一匹が地図に印のあるこの場所に乗り込み、奇襲攻撃を仕掛け、サークス人が展開している大規模な攻撃を阻止する。
「俺とお前で行くしかないだろう」
 ぼやくようにこぼす俺に、ルダールは低い声で唸った。眉間に皺を刻んでのその唸り方は承伏しかねるってときの少し不機嫌な返事の仕方だ。
 だが、現状それが一番の手であることをルダールは理解していた。だから俺が再び兵士を呼んで話をしているとき、何も言わなかった。それが犠牲がもっとも少なく、奇襲作戦の成功率が高い現実的な方法であると解っていたからだ。



 次の日の夜、暗闇に紛れて、俺達は街を離れた。
 灯りは持てない。俺はルダールの目を信じてその背で揺られるだけだ。
 騎士団の副団長には俺が行くということで話は伝えてある。あとは俺とルダールが速やかに任務を遂行、帰還。多くの者は俺とルダールが動いたことなど知らないまま朝を迎える。それでいい。騎士とは民を護るものだし、団長である以上部下にいらぬ苦労や心配をかけたくもないものだ。
「なぁ、ルダール」
 俺がそう呼ぶときは、名もなきドラゴンだったパートナーを呼ぶときと決まっている。『なんだ』という低い唸り声はまだ若干不機嫌さを感じる。その不機嫌をさらに助長してしまうんだろうなぁ、と思いつつも、俺はこう口にしている。
「人間を、嫌いにならないでやってくれ」
『……なぜ今それを言う』
「なんとなくだよ。いや…俺だって人だからな。間違いなくお前よりは早く寿命を迎えるだろうし、その意味でも、言えるうちに言いたいことを伝えてるだけだよ」
『…………』
 明らかにむっすりとした空気で俺の話を拒否しているルダールにこっそりと苦笑する。いい返事は返ってこない。だが、話は聞いてくれている。是の返答がなくても俺にはそれで充分だ。
 そう、充分だとも。





§   §   §   §   §






 サークス人が潜伏していると思わしき丘の廃墟を張り込んでいた兵士と一度合流し、ルダールが話をしている間、私はじっと夜の気配に神経を尖らせていた。
 暗闇を見通すこの両眼も、些細な物音さえ拾うことのできるこの聴覚も、今はなぜだか疎ましい。持って生まれたものに能力が備わっているというのはある種不便だ。背負わなくていいものを背負わされる理由になる。
 今回の作戦は必要だ。放置しておけばルダールが死守してきたあの国が滅びる原因となるかもしれない。それに、どのみちサークス人は生かしてはおけない。どの角度から見てもこの措置は必要なのだ。そう頭では理解している。だが、私の中の何かがこの作戦の危険性を訴えている。一体何が。そう考えるものの、問いは自分の中を堂々巡りするだけであり、自問の声に自答はない。
 ルダールが兵の肩を叩いてこちらに戻ってくる。ルダールのことを敬礼して見送る兵士の微妙な表情が、私の中の問いの声を大きくさせる。
 だが、時間は止まらない。どんなに暗い夜にも朝は訪れる。立ち止まって呆けている時間はない。
 暗闇に紛れて迅速に行動すること。いくらサークス人といえどもドラゴンの如き夜目などは持ち合わせていまい。明け方や昼間、日中に活動することを考えれば、影や暗闇に混じれる夜の行動が望ましい。
 まずは空の偵察がいないかを私の両眼でじっくりと観察する。空の分厚い雲に紛れた影は認められない。
 なるべくゆっくり、羽音一つ立てぬよう、慎重に。この移動だけは迅速を捨て、敵に見つからぬことを第一に行動する。
 私の背に跨っているルダールは静かだ。失敗は許されない作戦の前であろうと息一つ乱さない。
 しかし、ルダールはふと気付いた様子で私の後頭部を撫でた。ざらりとした手袋の感触が空気の澱みと風の冷たさに紛れて消えていく。
「信じてる」
 それは、いつかの言葉だ。私という存在に不意打ちを与えた言葉。
「愛してる」
 あのとき世界は美しかった。私は美しい世界に連れ出された。そして世界の尊さを知った。それを護りたいと思う心を得た。
 しかし、ルダールの浮かべる笑顔にはあの頃よりも影があり、疲れが見え、苦労の色が隠せないようになっていた。
「人間を、嫌いにならないでやってくれ」
 私の頭を撫でながら奴は言い聞かせるようにそんなことを言う。
 私の中でまた一つ、声にならぬ疑問が膨らんでいく…。
 それでも作戦に忠実に従う。それがルダールのためであり、ルダールが護る国のためであるから。
 丘の廃墟群の向こう、不自然に地面に穿たれた大きな穴に、ローブを纏った人の姿がぼんやりと認められる。杖を手に耳に残る詠唱をブツブツと唱え続ける者、何かの薬剤同士を混ぜ合わせて何かを作っている者、怪しげに蠢く何かの前で話し込む者…。まさかこちらから奇襲を受けるなど予期してもいなかったのだろう、警戒の色はない。
 私はゆっくりと飛ぶ。焦りを殺し、怒りを殺し、私の中で燻る疑問も、今は殺す。
 そうして、私が穴の淵にルダールをそっと下ろし、自分はルダールと向かい合う形になる反対側の淵へゆっくりと移動する。
 ルダールから私がどの程度見えているのかは謎だが、私には奴の表情の細部まで見て取れる。
 行こう、と動く唇に、私は唸り声で応えた。これみよがしな警戒の声を上げて唸ったのだから、穴の中で何やら作業しているサークス人の意識が私に向くのは当然のことだ。その瞬間を逃さず穴の中へ飛び降り剣を抜き放ち一人目の首を刎ね飛ばしているルダールは慣れている。無駄も迷いもない動作でフードを被った人間の首を二人三人と刎ね続ける。私はできる限り派手に動き回り、敵の意識と攻撃を引き受け、回避する。薬剤の何に引火するか分かったものじゃないから炎は威嚇程度にしか吐かないが、たまには攻撃もする。そうしてこの奇襲が私だけではなくルダールもいると気付いたとき、敵の数はもう半数を切っている。
 ああ、何も問題はなかった。いつものように、ルダールと私で事足りることだったのだ。私は何を燻らせていたのだろうか。
 私が爪で引き裂いた奴が人間の形をほぼなくしながら肉塊として崩れ落ち、背後から詠唱の魔法攻撃で私を狙っていた奴は尾を振り抜いて打ちつけ、壁に激突させてやった。オーセラ人のように身体が丈夫ではないサークス人には間違いなく致命傷だろう。
 最後の一人、私とルダールに挟まれて逃げることもできずじりじりと後退っていたサークス人は、狂った人種らしく、追い詰められたこの場面で高らかに笑った。私はその笑い声に顔を顰め、ルダールが無言で剣を構える。
 サークス人の頭が刎ね飛ばされ、フードを被った頭が宙を舞う。一瞬見えたその表情は狂喜に歪み、正気の色など見えない。
 ごっ、と重い音を立てて最後の一人の頭が地面を転がっていく。
(さあ、これで終わった。さっさと帰ろう。私は水浴びをして血を落としたいし、それはお前も同じだろう)
 ルダールが肩の力を抜いて剣先を下げ、刃を鞘におさめた。細く長く息を吐いたルダールに声をかけようとした私の耳に、地鳴りが先に届いた。ビシ、と音を立てて地面に亀裂が入る。私は翼のある生物としてその事態に反射的に羽ばたいていたが、ルダールには翼などない。奴は突然崩れ落ちた地面もろとも穴の中に空いたさらなる穴の中へ呑み込まれていった。
『ルダール!』
 私は吠えるようにルダールを呼んで、穴の中に飛び込んだ。
 しかし、何も焦ることなどなかった。穴はそれほど深くはなく、ルダールは瓦礫に片足を取られていたが、重傷ということもないようだ。痛みに顔を顰めてはいるが、顔色は悪くはない。
 私が岩に尾を叩きつけて退かすと、ルダールは顔を顰めながら岩の下敷きになった足に触れて「きれいに折れたな」とぼやく。そして自分で今できる処置を始めた。残念ながら私は治癒術が使えない。力ばかりあり余るが、それはこの場面では役に立たない。
 私はルダールの怪我が重くはないことに内心胸を撫で下ろしながら、改めて、突然の地面の崩落と、崩落によって落ちた穴の存在を思い出す。
 首を巡らせ、改めて辺りを見回してみる。灯りなどはなく、私でもよくよく目を凝らさなければ影と夜の濃さに景色を見失いそうだ。
 穴の壁際には何かが置かれていた。水晶…のようにも見える。明らかに不自然だ。『ルダール』私は唸るように奴の名を呼ぶ。なんとかいい具合いに足を固定したらしいルダールがひょこっとした動きで立ち上がりかけている。「どうした」『戻ろう。乗れ』「待て。ここを調査していった方がいい。情報が得られるかもしれない」それは最もな意見だった。だから私は一瞬反論できなかった。強く出ることができなかった。ルダールのマントをくわえて無理矢理にでも飛び立つという選択肢を取れなかった。
 そして、それは起こった。
 強い光。強く黒い光。オーラ、とも言うのかもしれない。
 穴のあちこちにある水晶から突然黒い光が上がる。私はやはり反射的に、翼ある者として、飛び立つことでそれを回避していた。
 だが、ルダールの背に翼はない。しかも奴は今片足を負傷している。地面がしっかりしているとはいえ、跳んで私に掴まるということは今の奴にはできなかった。
 一瞬の黒い閃光。一瞬のその光が水晶から波打つようにして地面に黒い魔方陣を描き出す。それは半分瓦礫に埋まっていたが役目を果たした。
 ルダールを中央に捕らえ、その魔法は、発動した。


 …例えるとするなら。星がすべて落ちてしまった、光一つない、夜空とも言いがたい闇、だろうか。
 その魔方陣はルダールを己の器として捕らえ、ルダールの身体に乗り移り、奴の肌を黒い紋章で染め上げた。
 それが良いものであるはずがない。奇跡など望めるはずもない。
 サークス人がひっそりと活動していた拠点にあった、黒い魔方陣。人体を犯す禁忌の魔法。それは騎士王ルダールを犯し、奴を己の器にしようと、奴のすべてを破壊し始めた。
 人格。記憶。思い出。表情。癖。声。奴のすべてを壊し、自分の思うように作り変え、器にしようと、黒い魔法は容赦なく牙を剥く。


 魔法を剣でどうにかできると思ったわけではなかろうが、長年の反射によるものだろう。抜き放たれていた剣はルダールの手から滑り落ち、ガラン、と音を立てた。
 私は呆然とルダールを見ていた。黒く染まっていく奴の肌を、苦痛に、いや、憎悪に歪んでいくその顔を、見ていることしかできなかった。
『ルダール』
 声をかけてみたものの、私の声は絶望に満ち、震えていた。
 私の知っているルダールが消えていく。碧眼の瞳からは光がなくなり、唇は引きつり、笑おうとするのに、怒ろうともしている。
 ……もうどうすることもできないと、私の中の冷静な部分が告げている。
 たとえこの場にギガドラゴンがいたとしても、きっとどうにもできなかったろう。これはそういう類のものだ。
 唇を引きつらせ、皮膚のあちこちを痙攣させながら、ルダールの口がどうにか私を呼んだ。反射的に地に下りそうになるが、寸前で思い止まって空中に戻る。
 あの魔法がこれきりという保障などどこにもない。私は私を呼ぶルダールのそばへ行くことも叶わない。
 だが、ルダールは笑った。諦めている顔だった。しかし、それでいい、と肯定している顔だった。
「これが、くろのすの、きもち、か。なるほど。しにたくなるわけだ」
『ルダール』
「ざんねんだ。るだーる、ほんとうに。ほんとうだよ。おまえにつたえたすべては…」
 ルダールがブルブルとおかしなぐあいに震える左手を右手で押さえつけた。「じかん、が、ないな。わかってるだろうが…おれはもう、だめだろう。すぐにじぶんをなくす」ぐっと奥歯を噛み合わせる私にルダールは唇を引きつらせて笑う。憎悪に歪んだ目にはまだ優しさが欠片ほど残っている。それが残っているルダールだ。身体の支配権は魔法に喰われ始めている。
 ルダールが私を見上げている。黒い紋様の浮かんだ肌で、支配されそうになっている身体と意識で、それでも私を見上げて、笑うことを選ぶ。
「おれを、ころしてくれ」
『…できない』
「やつらが、したかったのは、おれを、しはいして、くににもどらせ、ないぶから、はかい、することだ。もどれない。もどれないんだよ、るだーる」
『できない』
「るだーる」
 信じているよ、と声がする。愛しているよ、と声がする。
 俺に愛する国や人々を殺させないでくれ、と言う声がする。
 知っている。よく知っている。だが、お前はこれを知らないだろう。私の気持ちを。ドラゴンであるが故に鍵をかけて隠し、アノヤーテンまで持っていくはずだった私の気持ちを、お前は。
『私に、愛するお前を手にかけろというのか!』
 こんな形で伝えたかった想いではなかったというのに。
 それはほとんど叫び声に近かった。悲鳴に近かった。私の心はギシギシと軋んで悲鳴を上げていた。
 奴は一瞬だけいつもの奴に戻った。それだけ奴の心が動いたということなのかもしれない。一瞬だけきょとんとした顔を見せ…やはり、笑う。少しだけ照れくさそうな顔だった。すまない、と動いた唇の形を最後に、ルダールから、ルダールが消えた。
 それまでの表情の歪みが消え、身体の痙攣が消え、奴の肌を支配していた黒い紋様はすうっと肌に溶け込むようにして消えた。ルダールという人間が完全に支配されてしまった瞬間だった。
 ルダールの手が滑るように滑らかな動きで地面に落ちていた剣を拾うのが私の視界に映っている。
 しかし、私はその現実を信じたくない。拒否したくてたまらない。目を背けたくて仕方ない。
 だが、現実は容赦なく、ルダールはその剣を投擲するように私に向かって放った。遅れた動作で私がそれを避ける。翼の皮膜が少し切れる感触がした。ルダールは無表情に腰の短刀を抜いている。それも、私に向かって放つためだ。
(…騎士王は死んだのだ)
 私はようやくその事実を認め、静かに涙を流した。
 ルダールは。いや、ルダールだった者は、私の喉元を狙って短刀を投げつけている。私は先ほどより素早くその攻撃を避け、そして、大きく息を吸い込んだ。
 胸が熱くなる。炎を吐く前の身体的反応ではない。
 すでに視界は涙で歪んでいるが、私のすべきことは、決まっていた。
 私は全身全霊の力を込めて炎を吐いた。灼熱を吐いた。人間を塵にする炎を吐いた。ルダールの亡骸が骨一つとして残らぬように。間違っても骨が独りでに立ち上がり、動くことなどないように。
 私は焼いた。愛する者を焼き殺した。意識の死んだルダールの肉体を、この世から焼き払った。
 私はギガドラゴンではない。ギガドラゴンほどの力はない。私の炎に魂を浄化するような力があるかは分からない。
 だが、今はそれを祈らずにはいられない。
 私は焼け焦げた地面と瓦礫、未だ燻る炎の赤と橙を眺めていた。そこにルダールという人間がいたという証は何一つ残らなかった。
 何一つ、残らなかった。…残せなかった。
 私は分厚い雲に覆われた空を見上げ、吠えて、泣いた。鳴いた。ないた。



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【 2015/09/27 (Sun) 】 お話 | TB(-) | CM(0)

エンドロールなど流させない 三篇




 暗雲が垂れ込める、と表現する空があるとしたら、今まさに見上げているこの空のことではないだろうか。
 呼吸する空気が重い。そのせいで雲も重たく、空の高さというものが感じられない。鉛色の重い雲は途切れることなく青いはずの空を覆い、まるで世界の半分に蓋をされてしまったかのように感じる。それは私に翼があって空を飛べるが故に感じてしまう圧迫感だといえる。
 しかし、こんな空がもうずっと続いている。さすがの私でさえうんざりするというものだ。
 なんでも、この分厚い雲は自然発生したものではないのだという。それもこれも『サークス人』が関与している。
 それと、あのドラゴン。禍々しい、とも表現できる力を持つ、かつてはモンティカから託された力を正しく使っていたドラゴン。しかし、今は憎しみに満ち、その力を己の欲望の成就にのみ用いている、この世界に呪詛を吐き続けるドラゴン。
 私は奴がモンティカに信頼されたブラックドラゴンであった頃の姿を知らない。私が知るクロノスというドラゴンは、すでに堕ちたブラックドラゴンだ。奴が何を経験し、何を思い、世界を呪うようになったのか…それは分からない。
 ただ、多くのドラゴンの犠牲を出し封じられたはずのクロノスが復活したという噂は私も聞いていた。しかし、噂は噂であり、ドラゴンの一員とはいえ、私にはどこか遠い話でもあった。クロノスに関わるほど悪の道にも正の道にもいない孤独な生き方をしていたためだ。
 それを今こんなにも身近に感じている。

 クロノスがもたらす世界への憎しみ。
 その力に魅せられ、侵され、悪の道へと堕ちたサークス人。サークス人により堕ちたドラゴン。
 それらが今世界を蹂躙しようとしている。

 私の頭上には重く暗い色をした空があり、踏みしめる大地は荒野であり、草木の姿がない。この間この辺りを訪れたときには空は青く草木も生い茂っていた。川も澄んだ飲める水だった。それが今は濁りきって、とてもじゃないが口にできるものではなくなっている。そして、吸う空気の異常な重さ。呼吸に息苦しさ、不快感を伴う、と言ってもいい。
「…酷いな」
 ぼそっとした声に私は浅く顎を引くようにして頷いた。
 ルダールは私の横で倒れている人間の生死を確認していたが、私にはすでに分かっていた。呼吸はしていない。死んでいる。死因までは分からないが、この辺りにバタバタと倒れている人間から息遣いは感じない。
『ルダール。生きている人間はいないぞ』
「そうみたいだな…」
 ルダールは軽く溜息を吐くように吐息し、待機している騎士団に死体を一カ所に集めるよう指示した。そうしてどうするか? 私が火葬するのだ。死人がアンデッド化してしまわないように。二次被害を未然に防ぐために、見かけた死体はドラゴンでも人間でもできる限り火葬している。
 おかげで私は最近喉がカラカラと渇くのだが、それは内緒にしている。なぜか? まぁ、これ以上奴に余計な気負いはしてほしくないから…だろうな。


 私はルダールに頼まれてドラゴンの聖地アノヤーテンを訪れ、ギガドラゴンに現在の事情を聞いた。それで私に何かができるというわけではないが、現状の確認は重要だとルダールが言うので、仕方なく、だ。
 私は私にできることなら何でもしてやりたかった。それで少しでもルダールの気が休まるならそうしてやりたかった。
 ルダールの国は王という柱を失い傾き始めている。その分ルダールにかかる期待や重圧は依然よりずっと大きい。奴もさすがに疲れているのだろう、最近は眉間に皺を寄せて難しい顔で溜息を吐くこともある。私はそんな奴の力になってやりたかった。
 そのためなら気後れするアノヤーテンにも顔を出すことくらいする。
 あの場所は、なんというか、苦手だ。私には程遠い場所だ。死後は世話になるのかもしれないが、生きているうちに聖地を出入りするというのも、なんとも複雑な気持ちになる。
 アノヤーテンはどんなドラゴンでも受け入れる姿勢でいる。だが、そこにいるのは血統と力のあるギガドラゴンばかりであり、私のようなものが出入りするのはやはり憚られるものだ。
 …アノヤーテンで聞いた話は、なかなかに重いものだった。
 サークス人がクロノスと結託したこと。錬金術や呪術といった怪しげな術とクロノスの力で世界中のドラゴンが次々と犠牲になっていること。それに対抗するため、慧眼のイサイアと呼ばれるドラゴンがオーセラ人に協力を要請し、サークス人が率いる堕ちたドラゴンの軍団と戦っていること。そのぶつかり合いは未だ各地で続いていて、戦火の火はいずれ我々のもとにも届くだろう、ということ。
 私はこれ以上ルダールに重荷を背負ってほしくはなかった。
 だが、世界の流れは、奴を休ませることなど許さなかった。 
 国が縋る。奴に縋る。王という柱をなくし、暗雲垂れ込める空に不安を募らせ、奴に縋る。どうか護ってくれと。助けてくれと。
 騎士王ルダールは、その重圧から逃げない。逃げることなどできはしない。奴が逃げたらすべてが瓦解するだろう。すべてのものがバラバラになって逃げ出すだろう。騎士団はルダールがいるから騎士団としてかろうじて機能しているのだ。皆疲れている。ルダールが折れてしまったら、皆折れてしまう。
 奴はどんな気持ちで大丈夫だと笑ってみせるのだろうか。
 その肩にのしかかる荷物は重くなるばかりで、そのうちお前はその重さに耐えられず、膝をついてしまうのではないだろうか。


「団長! 前方上空にドラゴンを目視!」
 私が死体を焼き払っていると、双眼鏡を覗き込んで周囲を警戒していた騎士団の兵士の一人が鋭い声を上げた。一瞬で辺りに緊張が走るが、ルダールは冷静だった。「数は」「は、空に一頭です。首が二つ…ツインヘッドドラゴンかと思われます」「他に特徴は?」「…片方の首が折れています。恐らくすでに堕ちたドラゴンかと」ボッ、と炎の塊を吐き出して私は口を閉じた。暗雲の空を睨み上げ、兵士が双眼鏡で覗き込んでいる辺りを睨みつける。
 ……ああ、確かにいる。頭が二つ。首が片方不自然な方向に折れ曲がっている。色が黒いから雲に紛れて見つけづらい。
『落とすか』
 私がぼやくように言うと、ルダールは「頼めるか」と言って剣の柄に指を滑らせた。「恐らく斥候だ。片付けたらすぐに戻ってくれ」『承知』重い空気を掴み、ばさっ、と翼を広げて飛び上がる。
 生き物の焼ける臭いですっかり鼻が麻痺して、死臭にも気付けない。見える範囲に屍となったドラゴンがいるというのに気配を逃す。ああ、嫌な世の中になったものだ。

 あの輝かしい世界はどこへいってしまったのだろうか。
 騎士団に守られ平和に幸せに暮らし、笑う人々。国のために規律を守りルダールに従う騎士団と、誇らしげに風に揺れる騎士団の紋章の入った旗。民のためを思い政策を打ち出す王の気さくな笑顔。多くの者を慈しみ、護り、剣を手に取る、光の道を行くルダール。ルダールに護られ、魅せられ、その生き方を目指す者。
 これ以上ないほどに眩しかったあの世界が、今はもうどこにも見当たらない。
 あんなに美しい生き方だったのに、なぜ失われてしまったのか。なぜこうなってしまったのか。
 私がそれとなく吐露したとき、ルダールはこんなことを言ったものだ。


『不幸が許せなかったんだよ』
『何?』
『自分達だけ不幸なのが、許せなかったんだ。幸せになりたかったんだよ。そのクロノスってドラゴンも、たぶん、サークス人も』
『…幸せなどと。そんなもののために世界を陥れると? 愚かな』
『真理だと思うけどな、俺は。
 誰だって悲しい気持ちのまま生きていたくはないものさ。誰だって笑って前を向いて生きていたい。でもそれが叶わない。それなのにどこかで誰かが自分の理想を体現して笑っている、それが許せない。だから、世界を堕とそう…みんなが不幸になれば、自分の悲しさが当たり前になって、少しは楽になれるとでも考えたのかな』
『…………だが、そのやり方は間違っている』
『ああ、そうだ。どうしようもなく間違っている。賛同することはできない…だから、戦わないといけないんだ』



(だが、ルダール。もしクロノスの根底にそんな感情があったとして…そうだとして、それなら、この戦いの行きつく先は一体何になるのだ。どこになるのだ)
 半分屍として腐ってきているドラゴンを落とすのは難しいことではない。動きは鈍いし、生きているときの半分ほどのことしかできないとみていい。
 折れている首に灼熱を吐きかけ、まだ繋がっている首を爪で切り裂き、翼を片方喰いちぎって地へと落とした。まずい血の味のする口内はすぐに炎を吐き出すことで殺菌した。
(ルダールのもとへ戻らなければ)
 荒野の中を不自然な足取りでこちらに向かっている群れがある。種族もバラけてまとまりがないドラゴンが多数に、フードを被った人間の形…。サークス人と支配されたドラゴン達だろう。これで何度目だろうか。
 かろうじて機能しているあの国を落とそうとこうしてやってくる。ルダール率いる騎士団は国を守るため、襲い来る敵と戦い続けている。終わらない戦いに、騎士団の疲労は大きくなる一方だ。
 ばさり、と翼を翻してルダールのもとへ戻る。相変わらず空気が重く、息をするのにも眉間に皺が寄る。
 今からこの荒野は戦場になる。騎士団の誰もが予感している。だから表情は硬い。
 だが、私が戻るとルダールだけは笑顔を浮かべて私の頭を軽く叩いてから撫でてくる。
 私を労わるその手は、今日も剣を手に、命を刈り取る。譲れないもののため、それらを護るために、その手を汚す。
 俺は血に浸かっているんだよ。そう言って寂しそうに笑った奴を一度だけ見た。その日はちょうどこんなふうに天気の悪い夜の空の下で、辺りは真っ暗で、私はそのまま奴がどこかに沈んでしまうような気がして、マントの端を軽く噛んで引っぱったものだ。
 たとえそうだとしても、その生き方をお前は続けた。自分のためではなく誰かのために立ち続けた。その生き方は間違いなく美しい。
 そう吐き出した私に、奴は珍しくきょとんと不思議そうな気の抜けた顔で私を見て、それから本当の顔で笑った。飾らない素の笑顔で笑った。
 私は、その顔を見て、この命が燃え尽きるまでルダールについていこうと誓った。
 だから私は折れない。絶対に折れない。たとえルダールが膝をついたとしてもその背を守り抜く。
 私が尽きるとき。それは、ルダールの命が尽きるときだ。


【 2015/09/17 (Thu) 】 お話 | TB(-) | CM(0)

エンドロールなど流させない 二篇




 昼食時、王が眉間に皺を刻んだ険しい顔で「話がある」と言いに食堂までやって来た。
 食堂で思い思いに昼食をとっていた騎士達がいっせいに敬礼するが、王に気にするなとばかりにしっしと手を振られると、どうしたらいいのかと困惑した顔をこっちに向けてくる。
 王はどうやら俺をご用命だったようだ。それならそれで誰かに命じれば俺が王のところに行ったというのに、相変わらず自分の足で動くのが好きな人だ。だから、俺はこの人が好ましいと思うわけだけど。玉座に座っているだけが王の仕事じゃないと解っている人、というか。
「どうされました? わざわざこんな場所まで」
「仕事の話だ」
 険しい顔と潜めた声でそう言われて、食べかけの食事のトレイを向かいの兵士に押しやった。「片付けておいてくれ」「はっ」敬礼した兵士を置いて席を立つ。
 王が自ら騎士団長である俺のところに仕事の話を持ってきたということは、それなりに重要性のある話だということだ。大勢の耳に入れるべきか否かもある。食堂でするべき話ではないだろう。
 王と二人でクリーム色に褪せてきた城内の内廊下を歩きつつ、その場では何気ない会話をした。王と俺が隣り合って歩いていると、その必要はないのに周囲が畏まってしまうから、それを防ぐためだ。無駄な緊張は日常に必要ない。
「だいぶ色褪せてきましたね。そろそろ壁の塗装くらい塗り替えますか」
「うむ。汚い城では格好がつかぬしな」
「それを言ったら、謁見の間のカーペットもですよ。交換を考えた方がいいかもしれませんね。この間来客した商人が驚いていましたよ」
「そうだったか? ふむ…」
 どうでもいいような会話を交えつつ、他に誰の姿も見えない城の敷地の端までやって来た。見張りのために少し高めの塔があるだけの場所で、この周辺には当番の兵士くらいしかいない。
 王が再び険しい顔で眉間に皺を刻んだ。「ルダール」「はい」「お前に面倒事ばかり押しつけてすまないが…少々面倒な敵が目撃された」「……というと?」面倒な敵、という表現に首を捻った俺に、王は言う。「アンデッドだ」と一言。
 アンデッド。それは死してもなお動き回る死者のことを指す。
「人間の、ですか」
「ああ」
 普通、人間は死んでもそんな存在にはならない。きちんと火葬されれば灰しか残らないし、うちは火葬を選択している国だ。ドラゴンの炎で弔ってもらい、残った灰を集めて瓶に入れ、墓石の下に埋める。そう、この方法なら死者がアンデッドになることはまずありえない。
 他国の死者の埋葬方法にまで口を出すつもりはない。ただ、最近になって、こういうことが増えている。土葬で土の下に埋められたはずの死者が夜な夜な現れて、村や町を襲うのだ。人里に行かずとも動物やドラゴンを襲うという例も確認されている。
 こうなるともう死者を死者として扱ってやることはできない。なぜこんなことになってしまったのかは分からないが、死者はアンデッドというモンスターとして扱われ、片付けられる。
 死者がアンデッドと化す理由、または原因が分からなければ、後手に回るだけだ。現状、うちが火葬を選択し死者のアンデッド化を未然に防いでも、こんなふうにアンデッドが目撃される。無論、放置はできない。ルダール騎士団の登場、というわけだ。
 正直、死者だった者をモンスターとして扱い斬り捨てることには抵抗がある。アンデッドと化してしまった以上と割り切りはするが、そんなことにならないのが理想だ。
「分かりました」
 短く答えた俺に王は浅く頷き、すまんなぁ、とぼやいた。それがやるせない仕事であることを王も分かっている。だから俺は苦笑いでいいえとぼやいて返した。 



 それから一週間ほどで俺と騎士団は任務を完遂し、帰還した。
 両手を伸ばして頭につけていた兜を取ると、やっと少し身軽になれた。そう重たくないものでできているとは聞いているが、頭にずっと何かつけているのはやっぱり首と肩にくる。
(…俺も歳になったかなぁ。今年でいくつだっけ。26? 27? 28だっけ? あれ、30だっけか? まぁ、どれにしたってもう若いとは言えないよなぁ。うん)
 ごき、と首を鳴らして、ついでに視線をぐるりと巡らせて、一つ吐息する。
 簡素な城内に目に見える変化はない。そう、目に見える範囲では何も。
 吸う空気に問題があるわけじゃない。空気というか…気配というか…うまいこと言えないんだが、長年騎士をやっている身としては感じてしまう異変というものがある。
 一週間城を空けていたからな…。俺の気が立ってるだけかもしれない。明日、しっかり身体を休めてからまた確かめよう。そのときにこの違和感を感じなくなっていれば、俺が疲れていたってだけの話で終わる。それが一番いい。
(まずは王に報告に行かなければ。今回の遠征についてまとめた書簡は明日にでも受け取ってもらおう。今日は口頭だけで…)
 華美な装飾も余分なものもない城内の、ランプの灯りが、なんとなく頼りない。ゆらゆらと揺れて今にも消えそうだ。
 ガチャ、と鎧の鳴る音がいつも以上に反響して聞こえる。
 …そういえば、なぜ誰もいないんだ。遠征から騎士団が戻って、隊長である俺が城に戻ってきたのに。出迎えてほしいわけではないが、こんなことは今回が初めてじゃないだろうか。いつも頼まないのに水やら酒やら果物やらを持って誰かしらが出迎えるのに。
 違和感は加速する。自然と足早になる。ガチャガチャと甲冑の音が夜闇に響いては消えていく。
「王」
 簡素な両開きの木の扉は閉ざされていた。その前で足を止めて声をかけてみたが、返事はない。
 騎士団の帰還日は知らせてあったはずだ。不在ということもないはず…。
 違和感は、さらに加速する。
「失礼します」
 両開きの扉。その片方を押し開ける。ギギギ、と軋んだ音を立てて扉が開ききる。
 王はちゃんと玉座に座っていた。居眠りでもしてるのか、うなだれている。予定より遅くはなかったから待ちくたびれて寝てしまったのかもしれない。
 なんだ、と吐息し、歩み寄る歩調を緩めた。
 一国の王に風邪を引かれちゃたまらない。騎士団は無事帰還、犠牲者もなし、任務は完遂。それだけ伝えて今日はもう休んでもらおう。
 王が座る玉座まで敷かれた赤いカーペット。どうせ踏んでしまうのだから大したものである必要もない、という意見が一致し、長年踏まれ続けてぺたんこのカーペットをいつものように踏みつけると、バチャ、と音がした。水音に近い。なぜカーペットからそんな音がするのか、と視線を下げてみる。…いつもと同じ赤に見える。
 いや。外からの僅かな光を反射している部分が、ある。それに水音。この二つを合わせて考えられる赤は一つだけだ。
「王? ルーダル、ただいま帰還しました。……王」
 いくつかの階段を上れば玉座があり、そこに王が座っている。だが、声をかけても反応はない。それどころか呼吸音を感じない。
 甲冑で踏んだカーペットの赤をよく見つめて辿ってみると、それは王の足元まで続いていた。
 躊躇わず階段を駆け上がって王に手を伸ばす。うなだれた身体の肩に手を置いて「王」と揺さぶると、彼は簡単に崩れ、足元の赤の中に転がった。どちゃっ、と重い音が響き、転がった王の身体が赤い色で濡れる。飛び散った赤が甲冑に雫をつけた。
「…、」
 何かを言いかけた口を、ぐっと引き結んで閉ざし、剣の柄に手をかける。
 感じた違和感はやはり当たっていた。
 この城には今誰もいない。いたとして、それは息をしていないただの死体だ。
 騎士団を散会させたところだが、今すぐ叩き起こして街の安全を確認しなくてはならない。
 油断なく視線を巡らせ気配の一つも逃さないようにしながら、後ずさるように、玉座の間を後にしようとした俺は、信じられないものを見た。確かに死んでいた王が動いたのだ。カーペットを濡らしていた出血量から考えれば死んでいるのに、王の手は動いた。濡れた赤に手をつき、よろよろと起き上がる。
 まさか生きていたのかという喜びは一瞬のうちに冷めた。王の身体から腸ようなものが落ちたのが見えたからだ。
 バチャ、と赤の中に落ちた臓物。それでもなお起き上がった王は倒れない。ぎこちない動きで俺へと首を巡らせて、死んだ顔で笑ってみせる。そこに俺の知っている王の面影はなかった。だから、だろうか。あれほどまでに国の未来について熱く語り合った人が死んだというのに、俺は悲しむことができなかった。…それでもやらなければならないことは決まっていた。
 王の手がゆらゆらと、何かを探すように彷徨っている。俺の方へ…いや、生者の方へ来ようと、頼りない足取りで赤を踏みつけている。
 アンデッド。今回の任務の討伐対象だったもの。
 まさか、あなたがなってしまうなんて。
(…騎士として。騎士王の名をいただいた者として)
 剣を鞘から抜くと、キーン、と高い音がした。
 この状態の王を、民や騎士に見せるわけにはいかない。混乱を招くだけだ。
 柄を握る手が軋むほどに強く力を込めて、かつての主を、一閃した。
 すまんなぁ、とぼやいた王が見えた。俺があの人を見た最後だ。…どうせならもっと違う言葉がよかった。最後の言葉が、すまない、だなんて。
 上と下に分かれた王の身体は再び赤の中に転がったが、それでもまだ動いていた。蠢いていた。だが、相手にしている時間が惜しかった。確かめなければならないことは山ほどある。それでもなお血の中を這う王を玉座の間に置いて、バン、と扉を閉ざした。…あの状態ならこの扉を開けることなどできはしないだろう。


 俺は城の中を駆け抜けた。頼りなかったランプの灯りはすっかり消えていた。途中、邪魔だったので兜は投げ捨てた。
「ルダール!」
 俺がそう呼ぶときはドラゴンであるあいつのこと指している。
 城の城門で退屈そうに欠伸をしていたあいつは俺を見るとぴたりと口を閉じた。ぶわ、と翼を広げて地上に下り立つ。『何があった』「王が死んでいた。いや…どう言えばいいかな。とにかく何かまずい。急いで騎士団を召集しよう。状況を確認しないと…」眉間に皺を寄せていたルダールが視線を跳ね上げる。俺じゃない何かに。
 振り返ると生き物の気配のない城があり、雲に沈んだ夜の空が。そして、城の上には何かがいた。ローブを着た集団…のようにも見える。
「何者だ」
 隣で唸り声を上げるルダールと、剣の柄に手をかける俺。
 うちにはあんなローブの集団は存在しない。ということは部外者であり、状況的に、敵だ。
 声はかけたが返事があると期待はしていなかった。そしてその通りになった。
 ローブを着た集団はブツブツと何かを唱えている。詠唱だと気づいた俺はすぐさまルダールに跨った。あいつもすぐに飛んだ。さっきまでいた地面の上で紫の光が弾けて爆発する。
 何者か、分からないが、やるべきことは決まっている。もうずっとそうやって生きてきた。
 剣を抜く。さっき王を斬った剣。拭っていない血がまだ色を残している。
 ルダールや騎士団、街の民も、みんなが俺を善人のようだと言うが、そうじゃない。この手はただ真っ赤なだけだ。手どころか全身、俺は血に浸かっている。そういう生き方をしてきたんだ。今更一人斬るも二人斬るも、十人斬るも、百人斬るも、変わらないさ。
 それで何かが護れるのなら。幸せに生きられる人々がいるのなら。道を切り開くことで、後ろに続く者がいるのなら。俺は。

 いただいた冠と、眩しい白い鎧。
 本当はずっと、これを着るのが嫌だった。
 全身が赤く染まっている自分が纏うにはきれいすぎる鎧。護るという大義のために命を奪い続けた結果いただいた冠。
 本当は誰よりもこの俺が汚れているのに。皆が俺を敬い、目指し、俺の生き方を真似ようとする。
 本当はずっと、それを止めたかった。
 もっと違う生き方をしてほしかった。
 無我夢中で俺を目指した結果、どうなるか、俺が知っているから。

「…一人は残そう。尋問すれば何か分かるかもしれない」
 最後の一人は致命傷を与えない程度に、剣の柄で鳩尾を殴り飛ばした。吹っ飛んで転がったフードの人間をルダールが片足で踏みつけて押さえる。『…尋問か。無駄かもしれん』ぼそっとした声に剣を振るって血を払いながら顔を向けると、渋い顔のルダールが踏みつけた人間を睨みつけていた。『サークス人だ』「サークス人?」『お前は知らぬか…。狂った連中だよ。まともに話ができるとは思わぬ』「…それでも、話をさせるしか、」言いかけた俺はカチッという何かのスイッチが入る音を聞いた。瞬間、ルダールの足元にいた人間が爆発した。頭だけ。威力はなかったのでルダールに怪我はなさそうだったが、飛び散った肉片や骨を迷惑そうに振り落としていた。
 突如首から上を失った身体は一拍遅れてから血を溢れさせ、地面を汚していく。
 自爆、か。
『言ったろう。狂った連中だ』
「…そうみたいだな」
 一つ吐息して、マントを取り払った。血やら何やらで汚れたルダールの顔を拭いてやる。他に拭えるのに使えそうなものがなかったからマントで我慢してくれ。
『おい、何をする』
「その顔で飛んで行ったら皆が驚くだろ。お前に騎士団を召集してきてほしい。俺は街を見回ってくるから」 
 むぅ、と唸ったルダールの頭を撫でた。「頼んだ」『…仕方ない』ばさ、と翼を広げたルダールが暗い空の中に飛び上がり、街の明かりを目指して滑空していく。すぐに小さくなっていくその姿を見送って、汚れたマントで剣の刃も拭っておいた。
 俺に撫でられた子供が嬉しそうに喜ぶ姿や、俺と握手した兵士が感動で顔を輝かせる様や、撫でられれば目を細くして小さくゆらりと尻尾を振るルダールは、こんなに汚れた手に触れられて嬉しいんだろうか、とたまに思う。
(さあ、騎士王ルダール)
 目を閉じて、一つ深呼吸する。
 血のにおいにはもう慣れた。
 俺がやらないで、誰がやる。その手を汚す。
 もう取り返しのつかないほどに汚れた手が、血で腐って落ちるまで、剣を握り続けろ。それが俺にできる唯一だ。


【 2015/09/08 (Tue) 】 お話 | TB(-) | CM(0)

エンドロールなど流させない 一篇




 大丈夫だよ。信じてる、愛してる。そんな砂糖のような言葉を素面で吐く人だった。
 いや、素面どころじゃない。それよりもっとひどい。当然の如く笑顔でそんな言葉を吐くのだ。しかもそこには嘘や偽りが一片も存在しない。こう言ってはなんだが、聖者という生き物がいたとしたら、それはあの者のことだと思う。
 満面の笑みで牙を剥く私の頭を抱き締め、この爪が、この牙が、自分を傷つけるかもしれないということなど欠片も心配していないと…もし私が牙を剥いたとしても、その痛みすら受け入れる、という笑顔。
 そのときの私は酷く傷を負っていた。心にも、身体にも。
 珍しいドラゴンだからと人間に追い回され、追いかけられ、ようやく逃げ込んだ洞窟で静かに暮らすことを心に決めた、空が緑のカーテンを薄く帯びていたあの夜。
 今でも憶えている。ああ、よく憶えているとも。
 動きにくそうな白い甲冑。星の光が宿った色。鎧とは似合わない笑顔を浮かべた男が一人、私が寝床と決めた洞窟の入り口からこちらに向けて掌を差し伸べる姿。その向こうから射す月光の金色。
 まるでこの世界に祝福されたかのような男と、洞窟という光の届かない闇の世界にいる私。よくできた絵のような対比図。
 光の世界から、闇の中へ、躊躇うことなく踏み出された足と、伸ばされた手。星の光をうつしてきれいだった甲冑は闇に沈み、色をなくす。
 唸り声を上げて警戒する私に相手はこう言った。

「大丈夫だよ」

 一体何が大丈夫だというのか。相手はそう言い、私に手を伸ばし…私は伸ばされた手の無防備なことに一瞬躊躇った。甲冑などこの牙で貫くことは容易い。本気になれば、その腕をひきちぎることもできる。
 私が迷ったその間に、相手は私の頭を抱き込んだ。決して小さな頭ではない。甲冑と私の鱗がぶつかってなんともいえない音を立てる。

「信じてる」
(何を)
「愛してる」
(…何を)

 男はその言葉を繰り返した。夜が明けるまでずっと私の頭を抱いたまま、砂糖のような言葉を吐き続けた。飽くことなく、ペースを乱すこともなく、当然のことのように愛を紡ぎ、私に大丈夫だと言って聞かせる。
 珍しいドラゴンだと。指さされ、追いかけられ、捕まえろと追い立てられ。ようやく逃げ込んだ静かな場所。ここで傷ついた心身を癒し、心穏やかに生きられれば…それが私の生なのかもしれないと、そう思っていた。
 朝が来て、男が気づいたように顔を上げる。そして私の頭を撫でる。顔には満面の笑み。

「行こう」

 …男の後ろから朝陽が射している。私を撫でるその手が正解だと言うように。
 男が先に洞窟の入り口に立って伸びをする。その無防備な背中に爪の一撃を被せることはもちろん簡単だ。だが、そんなことをしたところで何になろう。私が抱いたほんの少しの憎しみや苦しみを、この男は受け止めるだろう。当たり前の顔をして、大丈夫だと言って。



 騎士ルダールは仕える王からも信頼される男だった。それだけの実力があるというよりは、人間性。それが求められていたように思う。
 街のどこへ行ってもルダールは人気者であった。花輪をくれる女、握手を求める子供、声援を送る男、頭を下げる老婆…。
 迫った暗黒にも勇敢に立ち向かう。我が身よりも民のことを思い剣を抜く。それで大型の魔物に引き気味だった騎士団の心は一つにまとまる。ルダールと、私、一人と一匹が戦場を切り開くのに続く。
 私は人間が好きではない。どちらかというと嫌いであったといえる。
 だが、ルダールがすべてを変えてしまった。
 騎士という生き物の鑑のように生きる男に、私は心を打たれたのだろうか。分からない。だが、好ましいと感じたことは確かであろう。
 その生き方は美しかった。空一面の朝陽のように眩かった。目を閉じてしまいそうなほどに輝いていた。
 だが、その背を護る者がいないということだけが気になった。
 だから私は、ルダールの背中を護ることにした。

 ルダールの斜め後ろ辺りをついていくようになって、一年目。
 最初は物珍しそうに、私というドラゴンを眺めていた民や騎士だったが、やがて私という存在に慣れ、私をルダールのドラゴンだと認識するようになった。

 ルダールの隣を歩くようになって、二年目。
 出撃のさいは地上を走る馬型のドラゴンではなく、ルダールは私の背に乗るようになった。なぜか? 私がそれを許したからだ。何より、空を行けた方が何事もやりやすかろう。偵察も、特攻も。
 そうしてルダールと出撃するようになった私についた名は、『ルダールガーディアン』
 そのまますぎてなんとも面白みに欠ける呼び名だ。

 ルダールと生きるようになって、五年目。
 騎士ルダールは、その功績から『騎士王』の名をいただいた。騎士王ルダール…ふむ、なんとも偉そうだが、騎士の中であやつがその辺りの上位に位置していることは認めよう。ルダール以外に騎士王と呼べる人間がいるとは思えない。
 騎士王。その名が新しく刻まれた白い鎧は、以前よりもずっと精巧に、芸術品のように、奴を彩る。
 ルダールの輝きが増す。そのうち奴の彫像でも作ろうという話になるまでに。
 街が、国が、ルダールという人間を信じ、愛していた。
 私はこの場所が美しいと思った。規律を護りルダールに従う騎士団。ルダールと騎士団に守られ安全に生き、それに感謝し、笑う人々。苦しむ民のためにと進言すれば、ルダールの言葉を受け入れ政策を打ち出す王。
 ルダールが護り慈しんだ人は、いずれルダールに近い場所を目指す。善が善を呼ぶのだ。そうしてこの国はもっとよくなっていくだろう。
 騎士王ルダール。その名は永遠に世界の中に留まるだろう。お前の生き方を見て育ち、お前を目指した者は、お前を忘れないだろう。そして、お前の生き方を目指した者は、その生き方を受け継ぎ、次の世代の子供がまた思うのだ。お前のような生き方を、と。
 善の流転。
 これほどに美しく、完成されたものは、世界の果てまで探したところで見つかりはしない。



「俺はね、別に偉い生き方をしているつもりはないんだよ。これが普通だと思っている」
 夜の見回りの仕事を引き受けたルダールは、私の背でなんだかなと困った顔をしながらそうぼやいた。その顔は未だに騎士王という冠をいただいたことに戸惑っているようだった。「愛しいものは護りたいと思うし、それを脅かすものは許さない。そのために全力を尽くす。…何かおかしいか?」私が口角を引きつらせて笑っていることに気づいたらしく、不満気な顔をされた。
 ああ、全く、相変わらずの聖者だ。人間にしておくには惜しいほどに。ギガドラゴンにでも生まれついていれば、私は末永くお前に仕えていたろうに。
 だがお前は人間だった。人間だったのだ。一国の騎士だったのだ。その国を護るために生き、民のために剣を振るう。その肩に世界は重すぎる。
『ギガドラゴンにでも生まれついていれば、世界はもっと善くなっていっただろう』
 私の言葉に、ルダールはなんとも言えない顔で肩を竦めた。それこそ言ったところでもうどうにもならないことなのだが…もしもルダールの魂が流転するならば、次はギガドラゴンに生まれつくように、と願わずにはいられない。そんなことはとうてい無理だと頭では分かっているのだが…。
「ルダールガーディアン、なんて呼ばれてるが、お前はそれでいいのか?」
 随分今更なことを気づいたような顔で言われ、私は口を閉じた。
 面白みも何もない呼び名だが…その通りの生き方をしていることも否めない。
 何も言わない私にルダールは肩を竦めた。ガチャ、と鎧の音がする。騎士王の冠を刻まれた白い鎧は、いつかの夜のように星の色を宿し、輝いていた。
 ぽん、と私の首辺りをルダールの手が叩いた。ぽん、ぽん、と子供をあやすような仕種だったが、眼差しからは愛を感じた。
「もし俺が、死んでも。人間を嫌いにならないでやってくれないか」
『……何を言っている』
「お前の目から見たら、俺は善いことだけをしている人間に見えるかもしれない。それこそ善人みたいな…。だけど、この世界には、それが都合が悪い人間もいるんだ。この国にもな」
『そんな人間に、お前が殺されるくらいなら、私がその人間を殺す』
 唸り声を上げた私に、ルダールは至極困った顔で笑った。


【 2015/09/03 (Thu) 】 お話 | TB(-) | CM(2)

9月…



 三倍期間中にもうちょっとガンバロウと思ってたのに全然頑張れなかったモレンドです(´・ω・`)
 まぁ、領地行かないならIDに行く火力くらいならあるかなぁ…ソロるわけでもないしまだ困ってはいないなぁ…って思ったらこうね。うん(´・ω・`)
 それはそうと、8月終わりの早い段階で9月の人事部発表がありましたね!先回の失敗?を活かしてくれているならいいが
 しかし8月はイベントが何もなかったし…小説で頑張っているとはいえ…。。あまり自信ないなぁと思いつつ確認してみると…

09月度 ドラプロ宣伝部人事


meisi5.png


 お、新しい役職になれたぞ!思ったより高いヽ(´ー`)ノ
 ということで今月は課長補佐なのです、モレンドです!
 しかし今日のメンテでもめぼしいイベントはないようで…(´・ω・`) これじゃみんなモチベ下がるよなぁっていう。かく言う俺もその一人…
 でも役職もらったんだからせめて小説は頑張ります( ・`ω・´)
 一周年記念のリクはトップにある記事のようになりましたん!結構思いもしなかったものもある…!が、頑張って書く!!

 そういえば地味に気になっているのですが…フォローシステムが実装されてからドラプロHPのトップがちょっと変わったんですよ。さりげなくね


siryo24.png


 これから、↓


siryo25.png


 永住型でなくなったことを運営さんも理解しているとしか思えないのだが…(´・ω・`)永住するにはやらなきゃならないこと増えたよねぇ。少なくとも気軽さはないかなぁ…
 今ちょっと気になるのはペットかなぁ?ちょろさんがニンブルの方を当てたらしい・w・案外と大きくて空は飛べないんだとかw

アイテム収集機能付きなペット、初公開ドラゴン登場!

 アリーナデザインのドラは結構かっこいいのが多いんだけど、ガチャはなぁ…ガチャはねぇ…って感じ(´・ω・`)
 さて、ドグマがサーバ落ちしてる間に何か執筆…できるといいなぁ


【 2015/09/01 (Tue) 】 ドラゴン | TB(-) | CM(0)
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モレンド

Author:モレンド
モレンドです!
画像はちょろさんが描いてくれたものをちょっと加工しました!w

オラディアを舞台にした小説などを載せています。
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